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今日
江戸つまみ簪
〜季節を彩る華やかな髪飾り〜
「簪」は「髪刺し」に由来するともいわれます。古代においては、先の尖った一本の細い棒に呪力が宿ると信じられ、髪に一本の細い髪刺しを挿すことによって魔を払うことができると考えられていました。
今日でいう「簪」はこの「髪刺し」ではなく、江戸時代の初めに京都でつくられていた花びら簪の一つの技法が、江戸に伝わって発達したのが起こりといわれいます。
薄地の布を正方形に小さく切り、これを摘んで折りたたみ、組み合わせることにより、花や鳥の文様をつくる「つまみ細工」のことです。
江戸時代中期になると、櫛、簪、楠玉などがつくられていたようです。これらは彩りもきれいで、値段も手頃であったため、参勤交代のおりなどの江戸みやげものとして喜ばれたといわれています。福島県会津若松市の「白虎隊記念館」に陳列されている遺品の中に「つまみの楠玉」があり、江戸からのみやげものではないかといわれています。
江戸時代の社会風俗を描いた「森貞漫稿」には『文政期(1818〜30年)頃、女性の島田髷の背の方に白、青、赤、紫などの縮緬の小片を集めて、菊の花や鶴などの形にしたものを簪として用いた』と記されています。
江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した浮世絵師の描いた婦人図の中にも、つまみ簪と思われるものを見ることができます。今日、つまみ簪は東京が主要な産地です。お正月、七五三、十三詣り、成人式、結婚式などで女性の着物姿を一層ひきたたせています。
〜奢侈品の代表的な存在に〜
日本では古来、髪に飾る簪や櫛には、霊的な力が宿るとされていた。そこで、先が尖った細い棒状のものを髪に挿す習慣があったという。それは魔力を振り払うとされ、「髪刺し」と呼ばれていた。
また、女性たちは生花を髪に挿して頭に飾ることもあったが、こちらも神聖な意味を持つ風習であったという。これは挿頭花と書き、「かざし」といった。現在使われている簪という言葉の語源は髪刺しや、挿頭花からきていると思われる。
さて、簪や櫛は、女性の髪形とともに発展を遂げてきた。古くは奈良時代、すでに銀製で二本足の簪が作られていたことがわかっている。
しかし、江戸時代も元禄(1688〜1703)以前は人々のお洒落は衣装中心で、髪飾りはあまり使われいなかった。これが大いに発展を遂げたのは、江戸中期以降だ。当初は銀製で上部が耳かきの形になった平内の簪が主流で、定紋がついたものも多かった。
以降、女性の結髪の種類が増え、それにつれて道具や飾り物も、様々なものが作られるようになっていく。素材も、金銀、錫、鼈甲、象牙、珊瑚、ガラスと豊富になり、デザインも草花をはじめ、蝶や鳥、小動物など、広がりを見せた。
そうした中で、小さな羽二重の布を折りたたんで、花や小動物に見立てたつまみ簪も誕生している。こちらは、大奥の女中たちの間で行なわれていた手芸の一つであるつまみ細工からはじまったという説もあるが、確かなことはわかっていない。